新たな時代の訪れに、「万葉集」を振り返る
「万葉集」は現存する日本最古の歌集で、奈良時代のものです。20巻に4,500首以上の歌がまとめられています。奈良の都からみて東国地方の農民の素朴な歌である東歌 (あずまうた) や北九州地方の防衛にあたった兵士である防人 (さきもり) 歌など、天皇や貴族から庶民まで様々な階層の人の歌がおさめられているのが特徴です。
代表作の1つである、山上憶良(やまのうえ おくら)の「銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも」は、「銀も金も宝石も、どうして優れた宝である子供に及ぶだろうか、いや及ばない」と訳され、時代を経ても変わらぬ親の気持ちや例え方に親近感と微笑ましさを感じます。
新元号「令和」の出典となった「時、初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして、気淑(きよ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かお)らす」は、巻五の32首ある梅花の歌の序文の一部で「梅花の宴」の前置きとして大伴旅人(おおとも たびと)がその場にいる人々の気持ちを詠んだものとされています。例えば、「時は、初春の美しく良い月であり、空気は美しく風は和やかで、梅は鏡の前の美人がおしろいで装うように花咲き、蘭は身を飾る衣にまとう香のように薫らせる。」というように訳されます。
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白文:于時初春令月氣淑風和梅披鏡前之粉蘭薫珮後之香
書き下し文:時、初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす
読み:とき、しょしゅんのれいげつにして、きよくかぜやわらぎ、うめはきょうぜんのこをひらき、らんははいごのこうをかおらす
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万葉集は、編者とされる大伴家持(おおとも やかもち)の「新しき年の始の初春の今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと)」、「(訳例)新しい年の始めの今日に降る雪のように、良いことが積み重なってくれ」と締めくくられます。「令和」という新たな時代も、良いことがたくさん積み重なっていきますように。
この記事を書いた人

松田 あきな(まつだ あきな)
PRプランナー、新聞記者、フリーライター。
都内のPR会社勤務。企業や業界団体などのPRを手掛ける。
新聞記者およびフリーライターの顔も持ち、ママ目線の情報発信が得意。
2児の母。


