森林浴の効果をおさらいしてみましょう
これまで森林浴について紹介していきましたが、最新のデータを用いて、森林浴の効果をおさらいしてみましょう。森林浴効果とその科学的根拠。それが何に起因するものなのか。そして効果的に享受するにはどうしたらいいのかを紹介します。最後に、自宅で効果を得られる方法も併せて紹介します。
森林浴効果とその科学的根拠
森林浴効果について、李卿著「森林浴」では、以下のように記載されています。
- 1回20分〜2時間の森林浴が、副交感神経の活性を促し、メンタルストレス及びストレスホルモンを減少させ、うつ状態の改善に有効である
- 森林浴によるストレス解消を介して、高血圧、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患などの生活習慣病への予防効果を発揮する
- 2泊3日の森林浴は、免疫機能を増強させ、その効果は約1ヶ月持続する
また、このことについて、世界各国の医師や研究者が実験や調査を重ねて科学的根拠(エビデンス)が明らかになっています。李卿著「森林浴」では、その内容を紹介しています。その主なものは以下のとおりです。
- 森林浴によって、交感神経の活動が抑制され、副交感神経の活動が亢進される。自律神経のバランスが整いやすくなる
- 森林浴は、緊張や不安、抑うつ、怒り、混乱、疲労の症状を有意に低下させ、活気を上昇させ、うつ状態の改善をもたらす
- 森林浴によって血中アディポネクチン、若返りホルモンの分泌が促進され、動脈硬化、心疾患、肥満および糖尿病の予防効果やアンチエイジング効果が得られる。また、ストレスホルモンは、森林浴によって分泌が抑制される
- 森林浴によって、NK細胞(※)の働きが活性化する
※NK(ナチュラルキラー)細胞は、リンパ球に含まれる免疫細胞の一つで、生まれつき(ナチュラル)外敵を殺傷する(キラー)能力を備えており、全身をパトロールしながら、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ次第攻撃する。

これらの効果は何に起因するものなのでしょうか
宮崎良文著「Shinrin-Yoku(森林浴) 心と体を癒す自然セラピー」ならびに自然セラピープロジェクトのHPでは、その根拠となるものとして自然回帰理論(※)が紹介されています。
※Back-to-Nature theory(自然回帰理論)
人は、人となって700万年が経過しますが、その進化の過程99.99%以上を自然環境下で生活してきました。私たちは、自然環境に適した体で現代社会を生きているため、日常的に強いストレス状態にあることが知られています。自然環境や自然由来の刺激と接すると、人はリラックスすることが経験的に知られてきましたが、それは人が自然対応用にできているからなのです。
(O’Grady and Meinecke, Journal of Societal and Cultural Research 1(1):1-25, 2015)
現在のように都市で暮らす時間が増えてきた人間にとって、森林などの自然環境に身を置くことの重要さが見えてきますね。
では何をすると効果が上がるのでしょうか
李卿著「森林浴」では、以下のように記載されています。
「遠くの森林に行くことが必要なわけではありません。大きな樹木が一定程度ある近くの公園での森林浴でも十分に効果がある。」
また、自らが森林医学研究会の事務局長を努めておられますが、森林医学の根底にあるものは、以下の考え方とのことです。
「私たちの心身は、五感によって自然とつながることで、誰もが生来持っている癒やしの能力が目覚め、自らを健康へと導いてくれる」
つまり、樹木のあるところに行くだけで、あとは、自然があなたの心身を良い方向に導いてくれるということです。
まずは、身近な公園に行き、そこでなるべく目、耳、鼻、口、手や足などのあらゆる感覚を使って自然を感じるようにすることが大事になるということですね。

自宅で効果を得られる方法
森林に行かなくても自宅でそれに近い効果が得られるには、どのような方法があるのでしょうか。
宮崎良文著「Shinrin-Yoku(森林浴) 心と体を癒す自然セラピー」では、以下が紹介されています。
- 観葉植物を見ることによって、副交感神経活動が上昇し、交感神経活動が低下する。被験者に対する質問紙をつかった評価では、快適でリラックスしており、自然であると感じられていた
- 盆栽を見ることによって、脳前頭前野活動の鎮静化、リラックス時に高まる副交換神経活動の上昇、ストレス時に高まる交感神経活動の低下、ポジティブな感情の高まり
- 香りがないバラの生花によって、リラックス時に高まる副交換神経活動の上昇、ストレス時に高まる交感神経活動が低下することがわかった
- バラ・オレンジの精油の香りを吸入することにより、脳前頭前野活動が鎮静化することがわかった
- 木の香り成分を吸入した場合、生理的リラックス効果がもたらされ、主観的にも快適でリラックスすると感じられている。
何らかの方法で自然に親しむことで、十分にリラックス効果を得ることができるようです。皆さんも森林や自然に親しんでいきましょう。
参考図書・HP
新版森林浴 李卿著 まむかいブックスギャラリー
Shinrin-Yoku(森林浴) 心と体を癒す自然セラピー 宮崎良文著 株式会社創元社
千葉大学自然セラピープロジェクトHP
http://www.fc.chiba-u.jp/research/naturetherapy/index.html
この記事を書いた人

高田裕司(たかだゆうじ)
中小企業診断士、森林セラピスト、キャリアコンサルタント、森林インストラクター
親子、小学生から高齢者までの様々な方のご案内を担当。NEALインストラクターでもある。
植物の生態やネイチャーゲームを取り入れた臨機応変な対応には定評があります。
経営コンサルタントとして、農業者支援を数多く実施。50坪ほどの家庭菜園での野菜づくりとランニングが趣味。